ランナーにとってのお正月の楽しみの一つが、ニューイヤー駅伝、そして、箱根駅伝。
選手の頑張りに感情移入するとともに軽やかに美しく駆け抜ける姿に触れて、
「あんなフォームで走れたらいいのにな…」
そう憧れを抱く方も多いと思います。
では、いわゆる良いランニングフォームとは、いったいどんなフォームのことを言うのでしょうか?
明確な定義が存在するわけではないですが、私自身は
「力感がないけどなんか楽そうに速く進んでいる」
「無駄な力が抜けていて弾むように駆けていく」
そのように捉えています。
では、そんなフォームを獲得するためにはどうしたら良いのでしょうか?
もちろん、お手本となるような選手の動きをよく観察して、それをイメージして走る。
これも有効な手段の一つです。
ただ…やはりそれも限界があります。
良いイメージを体現しようとしても、それを体現するための身体の構造や機能(筋力、腱、関節、脳、神経…)が備わっていなければ。
では、良いランニングフォームを獲得するための身体の構造や機能とはどんなことを指すのでしょうか?
私が指導の時に大事にしているポイントは、主に5つ。
①バランスが良い(軸や着地が乱れない)
②関節の安定性と可動性が確保されている
③弾性(バネ)や反射を利用できる
④上半身と下半身が連動して動く
⑤力の発揮タイミングが良い
これらを獲得するには、それぞれの目的を絞って練習していけば良いのです。
その練習が陸上選手なら当たり前のように行なっている、いわゆる「ランニングドリル」と言われるもの。
例えば、①のバランス機能を養う練習として、「綱渡り」があります。
文字通り、綱渡りをするように一直線上を一旦静止しながら進みます。
足裏で地面を捉え、バランス器官で重心を捉えていくことで安定した軸の形成につながります。
②の関節の安定性と可動性を高めるドリルとしては、「ハードリング」があります。
身体を柔らかくするためにじっとした姿勢で筋肉を伸ばす「静的ストレッチ」と呼ばれるものがありますが、
ランニングフォームの獲得においては、それだけでは不十分で、軸や着地を安定させた上で、大きな動き(特に股関節)を確保していく必要があります。
(ランナーは、単に柔らかいだけではダメで、安定性とセットで考える必要があります!)
③④⑤の機能を獲得するためにもそれぞれのドリルがあります。
これらのドリルを繰り返し繰り返し行っていった上で、一流選手の動画などをイメージして走ってみる。
そうやっていくうちに、意識をしなくても
「なんか余計な力が抜けて、頑張らなくても楽に進むようになった」
と変化していくものです。
反射や弾性、連動性は意識を働かせて行うものではないし(考えている時間はなく勝手に反応するもの)、
着地の安定も自然にできるようになることが大事です。
そのために多様な「ランニングドリル」を普段の練習の中で当たり前のようにできるようになるといいですね。
毎回同じじゃなくてもいいし、10分もあればけっこうできますから。
2022年は、美しく軽やかに駆け抜ける一年にしていきましょう!